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狭い国土の日本で環境問題の最重要課題の一つは、廃棄物処理だろう。 とわけ、家庭から排出される生活系の一般廃棄物は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」により、10各市町村で責任を持って処理しなければならないことになっている。
そのため、各自治体には巨額な施設建設費や処理施設に関係する住民の合意、公害防止対策、最終処分場など、厄介な問題が山積しているのが実情だ。 さらにもごみ処理は社会状況の変化によって新たに発生するリスクも負わなければならない。
特に、ごみ焼却施設に起因するダイオキシン汚染は、発がん性へ急性毒性へ催奇形性も環境ホルモンの影響が指摘されて大騒動を引き起こし、社会的パニックとなり、各自治体にとって真剣に取組まなければならない課題となった。 旧厚生省もダイオキシン問題では、「ダイオキシン対策特別措置法」を制定、二〇〇二年(平成十四年)十二月1日からごみ焼却による排ガス規制値を一段と厳しした。
その一方で、各自治体には焼却炉の大型化、ごみ処理の広域化を指導してきた。 この一環として登場したのが、自治体が扱う可燃ごみを固形燃料に転換するというRDF(ごみから得た燃料)処理だ。
これを売込むメーカーは、自治体では燃やさないで処理するから、ダイオキシン発生の心配がない、また、生産したRDFも、製鉄所やセメント工場の大型炉でサーマルリサイクル(資源循環型社会形成推進基本法に基づき、ごみをRDF化などして製鉄所の高炉やセメント工場のボイラーの助燃料に転用することをいう)の燃料として有債で引き取ってもらえると環境面と経済効果を、ことさら強調した。 さらに、自治体にはダイオキシンを含んでいる焼却灰の処理とその処分場に悩むこともないとの利点も指摘へ結果的には、最終処分場(燃やすこともリサイクルすることもできないごみを埋め立てする場所)は不燃類を廃棄するだけとなり、延命化にもつながるなど、RDFは資源循環型社会の形成に寄与するという大義名分をうたい、次世代型の「夢のごみリサイクル」と、紹介パンフレットに大々的にうたった。

また、メーカーはRDFが保有する熱量にも言及して、熱量は木材の約二倍へ低質石炭(褐炭とも呼ばれ炭化程度の低い暗褐色の石炭)に相当する一キログラムあたり四三〇〇キロカロリー程度あるため、限られた資源である化石燃料の代替として極めて有効であと今後RDFの需要は伸びると将来の明るい展望も強調した。 しかしRDFを燃料として利用するにしても、固形であるため、一般的な灯油ボイラーとはまったく異なった、設備費も多額となるごみ焼却並みの燃焼炉が必要となり、また、多額の経費を投入してダイオキシン類や窒素酸化物、硫黄酸化物などをはじめとした排出ガスの公害抑制対策を講じなければならないことから、問題は多い。
こうした要因に加えも可燃ごみを固形化する際の多大な維持・管理費を必要とする大仕掛けなシステムの必要性とRDF燃焼時の設備投資を考えると、まだまだ未完成の部分があり、実用化には幾つかの大きな壁が立ちはだかっているのが実態だ。 それでもへこのキャッチフレーズに惑わされ、ごみ処理の広域化とRDF発電による売電事業に魅せられて、日量最大で二〇〇トン、三〇〇トンといった大規模なRDF生産施設、発電用燃焼施設を建設する自治体が、九州や中国も北陸地方などで次々と出ている。
旧厚生省の指導もあと一〇、二〇の市町村が協力関係を結んで広域処理を名目に、ごみ発電とセットで大規模施設の建設に着手して、すでに四カ所で稼働している(巻末資料2参照)。 ところが、RDFシステムを売込んだ大手ゼネコンの口車にまんまと乗せられ、これを導入した結果へ財政危機を招いて四苦八苦している自治体もある。
静岡県東端、富士山麓に広がる御殿場市と小山町で組織、運営する御殿場市小川町広域行政組合(管理者・O開蔵御殿場市良)の「御殿場・小山RDFセンター」だ。 計画当初は、ごみを燃料に変換する国内最大規模の施設という、鳴り物入りで全国から注目された。
だが、稼働以来、トトラブルが相次ぎRDFは消費先の見つからないまま倉庫に山積みとなっている。 しかも一九九八年度(平成十年度)のオープン予定時の当初予算に、年間六億円程度を見込んだもののへ二〇〇二年度(平成十四年度)当初予算では、一六億円余と二・七倍に膨れ上がった運営費など、多の抜き差しならない難題を抱え込んでしまった。
「ごみが燃料に変わ一、有償で引き取られる」という「夢のリサイクル」の甘言にはまったRDF施設は、おいそれと撤退できない公共事業という特殊な事情もあり、いまや幻想どころか、幻滅へあるいは地獄の様相となっている。 この苦境に施工メーカーは、何ら責任の一端も感じていない。
ここに見えるのは、税金ですべてが補てんされ、取つばぐれのない公共事業を受注すれば、あとは何とかなるといった、ごみ処理施設を建設する大手ゼネコンのモラルハザードが堂々とまかり通る現実である。 小規模の実証プラントで簡単なテスーを行ない、公的機関から技術評価のお墨付きをもらって、自治体に強引な売込み攻勢をかけへ不良品を背負わせても責任の片鱗も見せない施工業者の歪んだ企業倫理が、如実に現われている。
そして、その過大なツケを払わされるのは常に、納税者である住民である。 御殿場・小山のRDFセンターは、廃棄物処理施設を建設する大手業者に巣つている病魔の構図をほっきと示している。
施工済みの公共事業、それも毎日出てるごみ処理という状況を背景にへこの五年間へ組合は莫大な維持・管理費に苦悶する毎日だった。 住民に対する説明責任に迫られた組合は、ついに施工メーカーを相手にセンターのシステム全体に対する澱庇(欠陥)を指摘して、センターの建設費に相当する約八〇億円の損害賠償を請求する訴訟を東京地方裁判所に起こした。
組合管理者を務めるO市長は、これは政治生命を賭けた戦いであると明言した。 一方、二〇〇三年(平成十五年)八月、三重県多度町のRDF発電施設でRDFサイロ貯蔵槽が爆発・炎上して消防士二人が死亡するという悲惨な事故が発生し、RDF処理自体への不信感が加速した。
二人の死亡を受けて環境省や総務省消防庁など関係省庁は全国のRDF施設と発電といった関連施設の実態調査に乗出した。 だが、三重県の事故以前から、RDFを生産する施設では火災や発熱・発煙などの事故を頻繁に起こしてお一、国の対応の遅れも指摘されている。

三重県の事故直後の同年九月へ環境省は類似事故の再発防止を図るため、「ごみ固形燃料化適正管理委員会」(座長・武田侶生京都大学大学院工学研究科教授)を設置して、全国にあるRDF生産施設とRDF発電所の実態調査に乗出した。 調査は、一般廃棄物をRDF化している御殿場市小山町広域行政組合をはじめとする全国五八カ所の施設を対象に、事故や異常の発生に関するアンケート形式で実施され、同年十二月二十五H、「ごみ固形燃料の適正管理方策について」という報告書にまとめられた。
五八カ所のうちへ事故あなどの回答を寄せたのは、二六施設で、発生は三二件(複数回答有)にのぼった。 RDFの乾燥機や成形機などで発熱へ発火が報告されていた。

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